自転車旅はスポーツか

2012-01-14

自転車で旅をするサイクルツーリストだけでなく、ホビーレースにも出たり、さまざまな自転車イベントに参加することが大好きなサイクリストも含めて、一生自転車であちこち走り回ることを愛好してゆく人たちには、何か共通の傾向があるような気がする。ひとつは、そう言っては失礼だが、学生時代スポーツ万能だった人はあんまりいないんじゃないかということ。サッカーや陸上やバスケットなど、脚光を浴びるようなスポーツで過去に好成績を収めたこともあるのに「いつのまにか自転車が好きになっちゃってね、今ではすっかりサイクリストさ」なんてのたまう人に、私は会ったことがない。

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むしろ逆の場合が多いようだ。かく言う私も、高校生のときにサイクリングに出会うまで、自分は運動オンチでスポーツなんぞには縁がないだろうなあと思い込んでいた。もちろん自転車乗りにも優れたスポーツマンやスポーツウーマンはたくさんいるのであって、シリアスなレースでしのぎを削っているのはそういう人たちである。ただし、ほかのスポーツと自転車が少し違っているのは、レースに出るような人であっても、みんながみんな、勝つためだけに自転車に乗っているわけではないということだ。自転車での長距離走行を一生続ける人は、まず第1に自転車に乗ることそのものが大好きなのである。ベテランのなかには、サイクリングはスポーツではない、と言い切る人もいるくらいだ。運動のために自転車に乗っているのではないぞ、という主張でもある。そういう議論はもう20年かそれ以上前からあったような気がする。自転車で旅をすること自体が、無銭旅行ではないかとかなかなか一般に理解されにくかった時代のなかで、こういう命題はますます人を混乱させたであろうことは想像に難くない。しかし、その主張は逆に今の時代になってむしろよくわかる。スポーツ、という言葉の意味するところが広がったからである。